マンションでの個人情報規定について

 

以下に示す標準管理規約第70条は、「総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等についての詳細の規定は、規約で細かいことは言わずに別に細則を作って定めます 。」と言っている「規約」です。つまり、第70条は、これらの事項については「細則に委ねる 」ことを定めた「 規約 」であって、「細則」ではありません。

 

マンション標準管理規約(単棟型)

 

(細則)
第70条総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等については、別に細則を定めることができる。

 

従って、第70条の規約に基づいて、例えば、「理事会運営細則」とか 「入退去時の届出細則」とか「専有部分の修繕等工事申請細則」など、詳細内容を規定した細則を作ることができます。 公益財団法人マンション管理センターは、第70条の規約に基づき、細則で個人情報保護に 関する「規定」を定める場合のモデルを示しています。なお、「規定」という言葉は「法律や規則の中に個々の条文として定めること。また、その条文、条項」を示すものなので、規約や細則のように特定の法律 用語でなく、「規約による規定」、「細則に定められた規定」、「細則で ○○ を規定する」といったような使い方をします。
理事会運営には当然、組合員の個人情報に係る内容を知り得る場合もありますから、「理事会運営細則」の中に 例えば 「名簿の取り扱いを定めた条項」を入れておくことも可能です 。「入退去時の届出書類 」に同居家族の情報等が含まれれば、細則にそれらの取扱いを定めておくと良いでしょう。
以上のようにそれぞれの細則の中に必要に応じ個人情報保護関連の条項を入れておくことも可能ですし、また 、第70条の規約に基づいて、「管理組合が関わる個人情報の取扱細則」のような細則を独立して作ることも可能と思います。

 

以上、第70条(細則)の根拠で、個人情報保護に関する規定を「細則で定める」ことができると思われます。
第71条(規約外事項)の意味は、規約や細則に定めが無い時は、上位の法律そのもの(本件では「個人情報保護法」)を適用しなさい、と言っているだけの内容ですので、規約や細則を作る根拠にはならないと思われます。
「団地管理組合法人」若葉台くぬぎの第69条の2については、結局、「細則を定める」と言っているので、第70条で十分なように思われます。
平成26年に個人情報保護法がマンション管理組合に適用されるよう改正された後にも、国土交通省の定める標準管理規約は平成28年、29年、30年、令和3年と4回の改正がありましたが、規約本文には個人情報保護に関する条項は追加されず、細則に委ねたままであることから、多くのマンションではそれに準拠していると思われます。